いぶし銀のドラマー、デイブ・ベイリーの名前を知っている方はかなりのマニアでしょう。彼のエピック時代のリーダーアルバム3枚を収録したのが今回のアルバムです。
デイブ・ベイリーは1926年生まれで、13年間ジェリー・マリガンのグループで活躍しました、70年代以降は主立った活動はしていません。
彼のドラミングの特徴はとにかく堅実なサポートということです。リズム・キープに徹したドラミングで様々セッションに起用されました。ほとんどドラムソロをとらず、自己のリーダーアルバムでさえリズムキーパーとしてセンスの良いドラムを叩く希有な存在です。その特徴はカーティス・フラーの人気盤「サウス・アメリカン・クッキン 」でのエイトビートのリズムでも聴かれます。このアルバムはこのあとスタン・ゲッツによってヒットするボサノバの先鞭をつけた作品としても評価されています。
60年代前半エピックとジャズラインから5枚のリーダーアルバムを出しています。そのうちエピックの3枚を収録したのが今回のアルバムです。いずれもコレクターアイテムとして珍重されてきた幻の名盤です。オリジナル市場でも高い人気の盤です。今回収録されたのは「ONE FOOT IN GUTTER」「TWO FEET IN THE GUTTER」「GETTIN' INTO SOMETHIN'」の3枚です。国内盤が廃盤の現在3枚全部を聞くことができるこのアルバムは貴重です。特に「GETTIN' INTO SOMETHIN'」は日本でもあまり復刻されて来なかったので今回の収録は嬉しいです。
メンバー的にいうとクラーク・テリー、カーティス・フラーが参加している「ONE FOOT IN GUTTER」「GETTIN' INTO SOMETHIN'」の2枚に注目が集まりそうですね。この2枚はスタジオライブでリラックスした演奏が展開されます。僕は3枚ともアナログで持っていますが、その中でも一番好きなのは格下のメンバーを集めた「TWO FEET IN THE GUTTER」です。
演奏はもろハードバップで、カミンホーム・ベイビーなんかやってます。そういえばベースのベン・タッカーのオリジナルです。ピアノのビル・ガードナーはエピックが当時売り出しに力を入れていたのですが、あまり脚光を浴びることなく姿を消していきました。小型レッド・ガーランドといったピアノですね。
フロントもビル・ハードマンは少し名が知れていますが、テナーのフランク・ヘインズは無名のプレーヤーです。ちょっとハンク・モブレーっぽいですね。でもそんこと全く関係なくこのアルバムは楽しいのです。ジャズの楽しさがいっぱい詰まった演奏です。カミンホーム・ベイビーのイントロから体が上下にスイングします。とにかくお腹いっぱいジャズを満喫してください。
なおこのアルバムにはボーナストラックとしてジャズラインの「REACHING OUT」から4曲収録されています。
あとアルバム全体を通してベン・タッカーとペック・モリソンの重量ベースがぶるんぶるんきます。オーディオ的にはこのベースも聞き物ですよ。
最後に声を大にして言いたいのはもう一枚の傑作「BASH」を復刻してほしいということです。メーカーさん是非お願いします。
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