マシュマロレコードよりリリースした、カーステン・ダールの最新作です。
数年前カーステン・ダールのスティープル・チェイス盤を聴いてその存在は頭に入れていたのですが、その時感じは悪くないけどまだイマイチとの印象を持ちました。
今回マシュマロレコードの取り扱い開始に当たりサンプル盤を聴かせて頂いたのですが、白状しますとこのアルバムを一番最後に聴きました。やはりヤン・ラングレンが一番気になるところで彼の2枚のアルバムからトレイに乗せた次第です。
うなり声とともにピアノの音が聞こえてきた瞬間、キーボードを打つ手を止めて思わず聞き入ってしまいました。
あのカーステン・ダール?と思わずジャケットを見直して曲目をチェック、僕の好きな曲を何曲もやっているではありませんか。9を抜かして全部有名な曲ばかりですね。9はもちろんプロデューサーの上不三雄氏に捧げた曲です。
以前のカーステン・ダールは少し線の細さを感じたのですが、このアルバムではジャズの大本に根ざしたプレイで、とくに5のマイノリティはスピード感溢れるイマジネーティヴなソロですね。たんなるバップ風なプレイでは現代的な感覚を織り交ぜたバピッシュなプレイです。
僕的には1の終わりから2が始まるところの雰囲気がとてもファンキーで好きです。「ALL THE THINGS YOU ARE」をラテン・フレーバーのアレンジでほんとに楽しく演奏してくれます。僕までうなり声を上げたくなりました。
ファンの方はやっぱり7「枯葉」に目がいくと思います。「枯葉」はこうやって欲しいという僕の願いを叶えてくれる演奏でした。テンポも一番よいテンポです。
8「WHAT'S NEW」は賛否がわかれるかも。太いベースに支えられてブルースのように聴けます。このアルバムの全体的な雰囲気にはまっているアレンジですね。
12「IT COULD HAPPEN TO YOU」は僕のフェイヴァリット・チューンですが、この曲をこんなにブルージーに弾いたのは初めて聴きました。こんなにノリのよい曲ではないのですが、エンディングまで申し分なくスイングしました。とくにエンディングのところがかっこいいですね。
ブルー・トレインというタイトル通りのブルース感覚いっぱいのアルバムです。カーステン・ダールがほんとに気持ちよさそうに思いっきりスイングしながら楽しくプレイしている、その気持ちがこちらにも伝わる演奏です。
またこのピアノは100年前に作られた物だそうです。このピアノの音がまたカーステン・ダールのソロに合っていますね。ピアノの音そのものも実に大事な要素ですね。
このノリノリのピアノ・トリオを最後まで存分にお楽しみ下さい。
CD \2800 SOLD OUT |