スタンダードの名手、ホッド・オブライエンの楽しいライブ・アルバムです。
50年代後半から活動しているホッド・オブライエンですが、彼の名前がファンに知られるようになったのは90年代になってからでしょう。レザボアで活動を始めたころからです。
このことに関しては寺島靖国氏の功績です。彼が自著の中でホッド・オブライエンを取り上げたことがきっかけになったと思います。かくいう僕もその一人です。
ホッド・オブライエンは1936年1月19日シカゴ生まれですので今年69歳、大ベテランです。初吹き込みはアート・ファーマーのプレスティッジ盤「THREE TRUMPET(PR7092)」1957年の録音です。一時プログラマーをやっていてジャズ界から引退、1974年に復帰以降は順調な活動をしています。
さてこのアルバムですが、CDではめずらしく第1集、第2集の2枚となっています。CDの場合長時間収録できるわけですがあえて2枚にしたいうのは、それだけ当日の演奏がすばらしくカットするのがもったいなかったのでしょう。
当日の3人のパフォーマンスは、リラックスした雰囲気にあふれたプレイで「ジャズって楽しいね」っていう演奏の典型です。
ホッド・オブライエンの特徴はどんなところだろうと思って腰をすえて聴いてみました。そうしたらやっとわかりました。
ソロ・フレーズが長いんですよ。やたらと。表現が悪いですが蛇がとぐろ巻くように延々とフレーズが続きます。だけど長いから飽きがくるかというと、以外とあっさりとしたフレーズで聴いていて長いということを意識させられません。それが彼の魅力であり特色でしょう。
また彼は地味なだけど良い曲を探して聴かせてくれます。ハード・バッピシュなプレイスタイルも僕が好きなところです。今回もジョー・ザヴィヌル「FROG'S LEGS」フレディ・レッド「THESPIAN」ビリー・ストレイホーン「SNIBOR」なんて渋い曲を取り上げてくれました。
そしてスタンダードのうまいピアニストですね。やはり50年代から活躍しているピアニストはスタンダードが上手いですね。彼の場合小唄がまた上手いです。「HOW ABOUT YOU」で思わず歓声を上げる観客の気持ちがわかります。第1集のラスト「JUST IN TIME」も嬉しい1曲です。
なおメンバーはいつものレイ・ドラモンドとケニー・ワシントン。もうツーといえばカーの連中です。各自ソロをとりますがおバーアクションにならず好感が持てます。
僕はいつも思うのですが、白人のバッピシュなピアニストと黒人のリズム隊というのは最高の組み合わせではないでしょうか。白人のセンスと黒人のリズム感の融和が僕は好きです。
録音はジム・アンダーソン、一時寺島氏が褒めていた技師です。ちょっとエコーがかった感じがライブの雰囲気を伝えてくれます。
2時間あまりがあっという間に過ぎてしまいました。本当に楽しいライブアルバムでした。ぜひ2枚一緒に聴いてください。
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