山中千尋、1996年桐朋学園卒業後バークリー音楽院入学。2000年ダウン・ビート「Outstanding Performance賞」受賞。JVC Jazz Festival in New York 2001に自信のトリオで出演。いまニューヨークでもっとも注目されるピアニストの一人です。
クレジットをみると山中自身がプロデュースしている。総合プロデューサーの澤野さんに伺ったら「私、なんもせえへんのですわ。彼女がやりたいようにやらしたんですわ。企画なんかしたってろくなもんできません。やりたいようにやるんが一番ですわ」とおっしゃっていた。まさにその通 り、ファンはお仕着せの企画物なんか聴きたくない、ミュージシャンの本音が聴きたいのである。まさにこのデビュー作は山中千尋のポートレイトだ。
1のオリジナルいいですね。聴いていたらサラ・ジェーン・シオンを思い浮かべてしまった。音の粒建ちなんかが彼女と共通 するものがある。
2のイパネマは意表をついたプレイです。こんなプレイも有りなんだというのを実感。
3は中島みゆきの曲らしいのですが、僕は原曲を知らないので(^^;;彼女のオリジナルのようにきこえた。哀愁のある良い曲です。こんなのを捜してくる彼女のセンスに脱帽です。
4は一転ハード・ドライビングなオリジナルです。現代のピアノを痛烈に感じる。スピード感だ。
5は僕が今気になっている曲。マイク・ノックの演奏を聴いて以来この曲に対する評価が僕の中で変わった。山中のプレイも僕の期待を裏切ることなく素晴らしい。当分この曲を追ってみよう。
6こういったエンターテインメント性は大事だ。口ずさめるようなメロディが心地よい。1と共にニュースタンダードとなりうる佳曲だ。
7もオリジナル。中近東風のメロディが心にしみる。
8このスタンダードで山中は深い精神性の世界を描き出す。
9はウエイン・ショーターのオリジナル。最近ショーターを取り上げるミュージシャンが増えてきた。僕自身ショーターの作曲家としのしての実力をあらためてしらされた。
10ラース・ヤンソンのオリジナル。彼のトリオでも演奏されていた。明るい表通 りといった趣の演奏だ。気持ちのよいエンディング。
ニューヒーロー山中千尋の鮮烈なデビューアルバムは大拍手でファンに迎えられるだろう。またこのCDを紹介できる自分が嬉しい。ただ望むのは大西順子のような取り扱われかただけはして欲しくない。それだけだ。
このアルバム絶対音を大きくして聴いて欲しい。エネルギーが違います。小さな音ではこのアルバムの真価は分からない。
CD ¥2500  |