澤野工房から届いたサンプルを聴く時はいつも期待で胸がわくわくしています。このCDのプレイボタンを押した瞬間、まさに期待通り、いやそれ以上の音が鳴り響き思わず「これだー!」と叫んでしまいました。
ジャズ・ピアノを知りつくした者のみがリリースできるピアノトリオです。
ティチィアン・ヨースト、このピアノの新星をまたまた日本に紹介してくれた澤野さんにあらためて脱帽です。
まずレイ・ブライアントの「REFLECTION」こんな曲をオープニングに持ってくるだけでもにくい演出ですね。この曲はロイ・ヘインズの「WE THREE」(以前アガタでもレコメンドしました)という僕の大好きなアルバムの冒頭を飾った曲です。このときのピアノはフィニアス・ニューボーンでした。
この曲はレイ・ブライアントの曲なのですが、彼の人気盤にはなぜか収録されていません。でも哀愁のある曲調はまさに日本人好みですね。この1曲で僕はこのアルバムが大好きになってしまいました。と同時にこの曲が収録されたアルバムを探してみたくなりました。
曲目をみていただければ分かる通り人気のスタンダード・ナンバーがずらりと並んでいます。それも我々日本人好みの。でもこのアルバムが日本企画の安易なアルバムでないことは、音を聴いてもらえばきっと解っていただけると思います。
それはこのアルバムのプロデューサーでドラマーのクラウス・ヴァイスによるところ大ではないでしょうか。彼は澤野工房から「GRENNSLEEVES」というアルバムをリリースしています。澤野ファンならすでにごぞんじですよね。このアルバムも実にリラックスしたピアノ・トリオでした。
というわけで今回の「OUR REFLECTIONS」の実質的なリーダーはクラウス・ヴァイスでしょう。また彼のつぼを心得たプレイがこのトリオのメンバーをうまくサポートしています。決してでしゃばるドラミングではないのですが、ところどころにうまい「おかず」を入れて心憎いプレイです。
ベースも写真からするとベテランのようで、太いうなるベースを聴かせてくれます。ソロもまとまりのあるしまったソロを取っています。このベースをきちんと再生するのもオーディオ的な楽しみですね。
さてピアニストのティチィアン・ヨーストですが、彼のことは全く知りませんでした。すみません。でもそんなことどうでもいいことですね。こうやって彼のアルバムを聴くことが出来たのですから。
スインギーにころころと良く転がるピアノです。それでいて音はエレガントです。でもどこかに愁いのあるソロに僕はノックダウンしてしまいました。そしてなにより演奏者がプレイを存分に楽しんでいる、そんな印象を受けました。
プレイ・スタイルが誰それに似ているなんてことはどうでもいいことで、とにかくこの演奏をみなさんも楽しんでください。
このアルバムを聴いて「REFLECTION」にノックアウトされ、「TIZIAN JOST」にぞっこんになると断言しましょう。
そして「このアルバム聴かずして澤野工房は語れない」そこまで言いたくなる嬉しいアルバムです。
とにかく「LISTEN!!!!!!!」
CD ¥2500 SOLD OUT |