マリエル・コーマンの第2弾が澤野工房よりリリースされました。前回の「FROM THE HEART」でマリエルのファンになった方も多いと思います。
今回もバックはヨス・ヴァン・ビーストがつとめます。彼のしゃれたピアノは唄伴にはピッタリですね。前回と同様爽やかなヴォーカルを聴かせてくれます。
こんなことを書くとお叱りを受けるかもしれませんが、あえて言わせていただきます。マリエル・コーマンの魅力は「非常に洗練された鼻歌」だということです。
アメリカの白人女性ヴォーカリストの場合、ショービジネスの世界でもまれてきたある種の骨太さみたいなものを感じるのですが、マリエルにはそういったものは感じません。いつもでさらりと唄っています。
いつだったかサイトウキネンのコンサートの時に白人の女性のかたが来店され、ちょうどかかっていた「テンダリー」にあわせてさらっと唄って下さったことがありました。単なる鼻歌のいきではないのですがさらりと軽い、でも上手な唄に感動したことを覚えています。
マリエルの唄にそういったものを僕はどうしても感じてしまいます。せいいっぱい気持ちをこめて熱唱するというより同じ唄をさらっと乾いた感覚で歌ってくれます。その軽さが好きです。
ですので今回のアルバムでもエイトビートの唄が魅力的ですね。その意味で2,4,7なんてぐっときます。反面6「THE SONG IS YOU」のアップテンポのフォービートは彼女に合わない気がします。こういった曲はショーシンガーの十八番ですね。
また8「恋の味はご存知無いのね」をどう唄うか興味深かったのですが、殊更肩ひじ張らず唄ったのが正解でした。またヨス・ヴァン・ビーストのソロもいかしてますね。でも欲をいえばスローなボサノヴァタッチでも良かったんじゃないかと思います。
みなさんご存知とはおもいますが、この二人は恋人です。寄り添うようなビーストのピアノがこのアルバムをより引き立たせていますね。
なお余談ですが、僕的には「アントニオ・カルロス・ジョビン集」みたいなアルバム作って欲しいと思っています。
暖かい暖炉を前にして二人の時間を過ごしたい、そんなときに最高のアルバムではないでしょうか。
CD ¥2500  |