伝説のビル・エヴァンス・トリオの伝説のライブ・セッションがコンプリートな形でリリースされました。
1959年マイルスのグループを退団したビル・エヴァンスはベースのスコット・ラファロ、ドラムスのポール・モチアンからなるピアノ・トリオを結成しました。12月には名作「PORTRAIT IN JAZZ」をリリース、ジャズ界に衝撃を与えました。
その後1961年2月「EXPLORATIONS」6月にはヴィレッジ・ヴァンガードのライブと順調な活動を続けていました。しかしヴァンガード・ライブのわずか10日後、スコット・ラファロが自動車事故で死亡。わずか1年半という短い活動期間でこの黄金のピアノ・トリオは消滅してしてしまいました。
第1作から「EXPLORATIONS」までの約1年間このトリオの正式な録音は残されていません。その間を埋める貴重な音源がこのアルバムです。曲目を見ると「PORTRAIT IN JAZZ」や「EXPLORATIONS」に収録されたナンバーが多く含まれています。特に「AUTUM LEAVES」と「COME RAIN OR COME SHINE」はこのトリオにとって重要なナンバーだったことがわかります。
「AUTUMN LEAVES」に関しては様々なアレンジで演奏されています。スコット・ラファロのソロが色々に変化しています。でも僕的には「BLUE IN GREEN」の完成度の高さが素晴らしいと思います。マイルスの「KIND OF BLUE」でも演奏されていましたが、エヴァンス・トリオの「BLUE IN GREEN」の方が上ではないでしょうか。それは第1作の「PORTRAIT IN JAZZ」でも言えると思います。
このアルバムはバードランドでの演奏のエアーチェックです。ですので音質はイマイチ、観客の話し声がかなり聞こえます。つまりメイン・バンドのインターミッションにプレイしていたためではないからでしょうか。だから曲目も同じようなものが並んでいると思えます。
しかしそのような状況云々は別にして、3人のインタープレイの素晴らしさはすごいです。緊密さは「PORTRAIT IN JAZZ」より上かもしれません。ただライブだけにある意味あらあらしさといいますか、ハードな面も伺えます。ポール・モチアンのバスドラなんかその一面です。またヴァンガードのライブほどの耽美な雰囲気は薄いようです。
だからといってこのアルバムの価値を下げるものではありません。1年半の活動期間、4枚のアルバムだけで消滅してしまったエヴァンス・トリオの演奏はどれも貴重です。しかも第2作までの1年間の空白期間のライブ・パフォーマンスだけにより重要なセッションといえるでしょう。
あらためて僕はエヴァンス・トリオの偉大さを認識しました。
全ジャズ・ファンにぜひ聴いて欲しい1枚です。
購入サイトへ |